【短編】雪と鯨とフォトグラフ
―…


「ほおー、幸せだぁ」

「もう、またそこで寝ないでよ?風邪ひくからね」

「いいじゃん。明日からしばらく休みなんだし。何ならお泊りセット持ってこよっか?」

「バカ」

「何だよ」



鯨は一度自分の部屋に帰り、
部屋着に着替えてから私の部屋に来て、
猫みたいにコタツに入った。



まったく幸せそうな顔しちゃって。




私はキッチンで温かいココアを入れて、
そこにマシュマロを一つずつ入れた。



そして私もやっと落ち着いてコタツに入り、
顔をゆるませた。




ぬくぬく。

あったかい。




目を細めてココアを飲む鯨を見て、改めて思う。




何だかなぁ。

あんな奇妙な出会いだったのに。






私達は付き合っているわけじゃない。


付き合ってるんじゃないかと誤解される事が多くても、
本当に私達は恋人同士じゃない。




でも、
しょっちゅうお互いがお互いの部屋に行き来する仲ではある。
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