甘美なる予感
今更、どうなることもない。
(今は、彼氏いるし)
それなりに幸せだと思うから。
そう、思っていた。
その声を、聞くまでは。
「──────高瀬?」
ドクン、
心臓が悲鳴をあげた。
その声に、脳が、体が支配される。
(なん、で…)
なんで、貴方がいるの。
「あれー?先生まだいたの!?」
「相変わらず格好いいねー!」
友人たちがそう言って笑いながらあの人に近づくなか、私はただ呆然とその場に立ち尽くす。