Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
じっとあたしを見つめる彼らから振り返って
あたしはもう一度グランドピアノのカバーを取って、鍵盤蓋を開けた。
『未来にむかって』をもう一度弾くか、それとも違う曲を弾いてみるか
でも今の場合はきっと違う曲を聴いた方が絶対にインパクトがある。
よし!……あの曲に決めた。
「今から弾くからちゃんと聴いててね」
緊張するけど、落ち着いて。
そして大きく息を吐いて。
あたしは一度ぎゅっと目を固く閉じると、鍵盤に手をのせて
まずは、あのわがままな彼に分かってもらおうと『Wind』を弾き始めた。