Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~



「早く取りに行きたいけど、お腹が空き過ぎて走れないよ……」



もう寝坊なんかしないもんね。



こんな空腹に耐えるのが辛いなんて思わなかった。



さっきの授業は時計ばっかり眺めていて終わっちゃったし。



2階、3階、4階……



階段を上っているうちにギターの音が聞こえてきた。



そして5階に着くと綺麗な歌声がギターと一緒に流れてきて



あたしはその音楽に吸い寄せられるかのように、行かなくちゃいけないのは第1音楽室なのに



用事のない第2音楽室の方へ歩いていた。



「あの人……」



この間後夜祭で見たボーカルの人だ……



閉じられている音楽室のドアの四角い小さい窓の所を覗いてみると



空を見上げながらギターを弾き、同時に歌う彼がいた。





< 14 / 277 >

この作品をシェア

pagetop