Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~



生徒用の席から前に来て、ステージの真近まで来てくれた大勢の生徒たち。



最初はあたしの歌う姿に固まってしまったり、口をポカンと開けてびっくりする生徒もいたけど



途中からはあたしたちの曲を何も言わずに聞き入れてくれた。



そして、生徒たちを正面だけでなく、左から右へ見ながら歌っているうちに



体育館の壁に持たれかかりながら聞いてくれている



……湊くんの姿を見つけた。



彼を見た瞬間、ドキッと過剰に心臓が動いて



それを機に鼓動はどんどん速くなって行った。



最初はただ、バンドを乗っ取った、わがままで、口の悪い後輩としか思っていなかったのに



……どうしてかな?



今は決してそんな印象を持ったりしない。



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