Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
ドアノブを右手で掴んで、少し力を入れてドアを開ける。
明日直接教室に行くしかないと思ったあたしは俯きながら階段を上ろうとすると……。
「……湊くん」
「なんだよ?そんなシケた顔して」
思わず目を見開く。
……見つけた。
彼は音楽室の下の階の踊り場にいた。
「ずっと探してたんだよ……湊くんのこと」
あたしはゆっくり足を前に進めながら湊くんに近づいた。
湊くんの近くにいく頃には、さっき泣いたばかりなのにまた涙が溢れていた。