Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~



「そんなこと言われたって俺はずっとここにいて聴いてたし。



本当お前はシケた顔したり、泣いたり忙しい奴だな」



なんて言いながら湊くんはあたしの頭を撫でてくる。



優しく、そして言葉にはしないけど「早く泣き止めよ」とでも言うような表情をして。



「そんなこと言われたって……。ここにいたなんて全然知らなかったもん。



……教えてもくれなかったじゃん。



初披露した日だって次の日いきなりいなくなっちゃうし」



ちょっと頬を膨らませて対抗する。



そう言うと湊くんはあたしの頭を撫でるのやめて手をおろした。



「………かったな」



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