Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
彼らが引き出す音楽に決して外れることのない綺麗な音程。
1つ1つの音を丁寧に生み出す音。
ボーカルの声は普通よりも少し低くみんなを虜にする彼のうた。
どうしても……どうしても……
そのバンドを……あのうたを……
忘れることができなかった。
まるで喋ったことのない男の子に恋に落ちてしまった……そんな感覚だった。
「-あ!ゆ・あ!」
必死であたしの名前を呼ぶ美紀の声に自分が少しの間トリップしていたことに気が付いた。
「あーごめんね。ちょっと考えごとしてた」
えへへと笑って誤魔化すあたし。
彼らと関わるようになるのはもうそう遠くなかった。
あたしは彼らによって自分の小さな世界から違う世界を知った。