Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
「言いたいことがあるなら早く言え。お前はそのためにいるんだから」
とそっぽを向きながら湊くんにそう言われた。
「はっきり言って……この歌をあの3人に歌って欲しくない」
あたしは手に爪の痕がつくくらい自分の手を握り締めて答えた。
そう告げると湊くんはあたしの方にバッと振り向いた。
今までは適当にあたしの顔を聞いていたような彼なのに
あたしの衝撃的な言葉を聞いた途端彼の顔は一気に変わって真剣な顔をしていた。
彼なら、湊くんなら分かってくれると思う自分がどこかにいたんだ。
だから無意識に彼の名前を呼んで連れ出したんだと思う。