Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
1度深く息を吸って、心臓のバクバクなる鼓動を無視して
……話を続けた。
「だってせっかくの男の子の気持ちや描かれている情景が
「好き」とか「愛してる」って何度も使って
大切な言葉を軽くしてて……全然読んでて、いつものように情景が浮かんだり
あたしの心の中に曲が浸透してこないよ!」
……言っちゃった。
でももうこの言ってしまった事実を変えることはできない。
ただ返ってくる湊くんの言葉を待つしかないんだ。
言い終わってからすっきりした気持ちと同じように思ったことがある。
あたしは彼に「分かってくれる」のではなく「分かって欲しかった」んだと思う。