Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~
再び音楽室に戻ると、あたしは航平くんの元に歩いて行った。
「あ、先輩やっと帰ってきた。
何かあったんですか?」
航平くんはあたしが戻ってくるまで練習をしていたようで、膝の上にベースを置いて
右手にはピックが掴まれていた。
「ごめんね。湊くんにちょっと話聞いてもらってて……」
湊くん……本当に何もみんなに伝えてないんだ。
彼は書いたルーズリーフを無言で眺めていて、誰も話しかけるなオーラ出して集中してるし。
「そう言えば、何か湊に分からないことあるって言ってましたもんね。
問題が解決したなら、さっき渡した歌詞の感想教えてもらってもいいですか?」
……来た。
もうあたしにはこの曲から逃げられないんだ。