Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~



「……俺だけじゃなくて、ちゃんとみんなにも言えんじゃん」



第2音楽室のドアに手を掛けた時、湊くんの声が聞こえた。



彼の声に誘われて、後ろを振り向くと……



「お前は女子達のファンと一緒じゃない。



俺たちの目に狂いはなかったってことだ」



と湊くんはそう言った。



今、“女子達のファンと一緒じゃない”って……。



「湊は一番最後だったじゃん。最初に先輩見つけたの俺と航平と広夢だし」



と自信満々に答える祐くん。



「先輩、すみません。俺たち結愛先輩のこと試してたんです。



あの歌詞は適当にクラスメートに歌詞を書いてもらったのなので



俺たちは一切手を付けてないものなんです」



眉を下げて申し訳なそうに航平くんが謝ってきた。



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