外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
中庭に仲良く手を繋いで歩いているマークと見知らぬ女の人を、
後ろからゆっくり追う。
「待て」祐哉が腕を取ろうとするけど私はゆっくり払う。首を振る。
もう2、3歩で手が届く距離で私は意を決する。
「・・・マーク」感情の無い声で呼ぶ。
マークはびくりとして止まる。でも後ろは振り返れないでいた。
隣にいた女の人が不思議そうに私の方を振り返った。
「どなた?」にこっと笑う笑顔は、ほんわかしていて柔らかい。
英語も話せる。
私は愛想笑いさえ作れなかった。
目をマークの背中に戻す。
肩で大きく息をした。