外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
目の奥の方に熱いものを感じた。
鼻が熱くなる。
下唇が震える。
泣かない。
泣きたくない。
拳を握りしめる。
「行くぞ」肩をぐいっと力まかせにつかまれ、無理矢理動かされた。
祐哉の声は低く、地獄の底から出したような声だった。
心臓がばくばくしている。
祐哉に肩を強く抱かれ、自分の意志じゃなしに歩く。
マークは何一つ言葉を発しなかった。
どうしてここにいるのか分からない。
この状況がうまく飲み込めない。
そもそも星の数ほどあるだろう旅館から、
なぜこの旅館でかち合ったのだろう?
神様がいるとしたら、意地悪だ。
私だけ、・・・・・ひとりぼっちなんだ・・・