外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
「ロビーに来てって。話がしたいって」
電話で話したことを端的に伝えると、わかったと言った。
「行って来い」
「・・・」
「なんか言われたら、連れてきて貰ったって言え」
なんで?
「俺にここに連れてきて貰っただけだって言え」
「どうして」
「それで上手くいくだろ?」口の両端を上げた。
視線を畳までゆっくり落とす。手に持ったままのスマホが役目を終えたとばかりに軽くなる。
「行けよ」背中をおしてくれた。
「・・・行ってくる」私は目を合わせないでそう言うと、スマホだけ持って、ロビーに向かって歩いた。