外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

どのくらいそこにいたんだろう。

気がついたら私の横に荷物がどんと置かれた。

「帰るぞ」

祐哉が立ってた。

コクリと頷くと祐哉は手を差し伸べた。その手に私は手を預けた。

車内はやっぱり無言で、ラジオの音だけが響いていた。

私のこの状況なんてラジオの中の人は知る由も無い。

バカ笑いしながら話に花を咲かせているけど、
とてもそんな状況にはなれない。

何も話さない、どこにも寄らない、行きとは全然違った車中の様子。
周りの景色ですら、忌々しい。

「・・・わたし」

「・・・・・ん」

「やっぱり」

「おう」

「バカなのかもしれない」

認めよう。バカなのかもしれないって告白すること程、
バカなものは無いけど、こうするしか方法は無い。

きっと私が今の私を認めない限り、祐哉は何も言わないだろう。

< 208 / 363 >

この作品をシェア

pagetop