外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

静まりかえった車内に携帯のバイブ音。

祐哉のだ。

私と祐哉の間に無造作に置かれているスマホが振動していた。
ちらっっと見るとディスプレイには、

『かすみ』

あぁ、そうか、思い出した。祐哉には彼女がいたんだっけ。

視線を足下に戻す。

私は今ここにいる男にもバカにされてるのかと思うと、
涙がまた出そうになった。

鼻先が熱くなる。お腹で呼吸をして、目を閉じて集中させる。
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