外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
そこには案の定、怖い顔をした祐哉と、
その後ろには無言で腕を組んでこれまた怖い顔をしたふんわりさん2号。
「・・・じゃ、片桐さんまた明日」 目が私を恨んでる・・・
こくこくと頷く私。
来いと、3つ先の自分の部屋に高鍋さんを連れて行く祐哉。
残されたのは、私とふんわりさん2号。
私をじーっと見てる。
私もその目を見返す。笑顔は無しで。
気まずいから、さっさと行ってほしいんですけど・・・
「桃華さん?でしたっけ」
「・・・はい」
「桃華さんはもうお休みください」
は?
「あとは祐哉と私がどうにかしますので」
それだけ言うと、笑顔も見せないまま踵を返し、
慣れた足取りで祐哉の部屋へ入って行った。
私が最後に見たのは、肩を落として玄関に消えた高鍋さんと、
その首ねっこをひっつかんでる祐哉、それにふんわりさん2号。
パタンと部屋が締まり、カチャンとロックがかかる音。
しーんと静まりかえった廊下に残された私。
「・・・もう、アメリカ、帰ろうかな」
小声で言った一言は、誰にも聞かれることなく廊下を駆け抜けて行った。
なんかもう、どうでもよくなってきた。
何あの態度。
祐哉といい、ふんわりさん2号といい、愛想のひとつもない。
でも私、なんか、よくわからないけど・・・
いつもだったらこんなふうに思ったらすぐ終わりにしてるんだけど、
今回は違う。
「はっきりしてからじゃないと、帰れない」
私の中で何かが変わったと気付いた瞬間だった。