外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
『片桐さんだけっすよ、気付いてないの』
高鍋さんの声が耳の奥で蘇った。
「僕は明後日帰るよ」
いきなりの帰国発言に戸惑う。だってまだ2週間経ってないし。
「日本にいない方がいいのかもしれない」
何それ・・・なんでそんなこと・・・
「僕たちは離れたらダメなんだと思う。
だから、アメリカに帰ってもう一回やり直そう。
ここに僕の居場所は無い。でも君は僕についてこないでしょ?」
何かを探るようなマークの目。
「ついてこないってどういうこと?
日本に来るのを承知してくれたんじゃないの?
一時帰国はできるけど、まだ仕事だって残ってるし帰れないよ」
「君は独立してる。一人でも問題無くやっていけるし僕を必要としていない」
「そんなこと・・・」
「シェーン、アメリカに戻ってきて」
戻れないの知ってるでしょ?何でそんなこと言うの?
「僕たちがいるべき場所はここじゃない」
僕たち?
食べかけのピザの水分が無くなった頃、私たちはお互いに無言で席を立った。