外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
私はこと勉強においては傷つくことを知らなかった。
1番にはなれないけど、受験の挫折も味わったことがない。
(第一志望は落ちてるけど)
「そんな私がまさか恋愛が不得意分野だったなんて・・・」
思いもしなかった。
キッチンで紅茶を入れながらそんなことを独り言のように呟いてたら、
マークが起きてきた。
気まずくなった私たちは、どちらからともなく寝室は別にした。
私はベッドルームを使い、マークはリビングのソファーで寝た。
「何?なんて言ったの?」寝ぼけ眼できょろきょろしてる。
「なんでもないよ。おはよう」
マークは日本語が分からない。それって都合の良いことでもある。
「私、アメリカに戻れるようになんとか動いてみるね」
「・・・どうしたの」
「マークと一緒にいたいから」
ダージリンティーを2つ、テーブルに置く。
「でも、明日は大切なミーティングが入ってるから成田には行けない」
マークを正面から捉える。
少しグリーンがかった瞳がブロンドの髪とマッチしている。
小さく溜息をつくマークは何か言いたそうに眉を八の字にした。
特段、突っ込むことはしなかったけど、
ここで少しだけ話を突っ込んでおけばよかったと、
思うことになるのは、少し先のこととなる。