外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
成田空港ではご注意ください
出発ロビーに着いたところで、高鍋さんは手を放してくれた。
はぁはぁ・・・
息切れする中年な二人。
気持ちは若くても、体はついてこないということを思い知る。
「・・・何時っすか?出るの?」
「・・・あと1時間で出る」
「よし、丁度いいですね」
LA行きですよね?と高鍋さんは言い、スタスタ歩いて行く。
私はなんとか胸を押さえながらついていく。
ほんと、かなり強引!
祐哉といい、高鍋さんといい、この会社の人は強引だ。
「電話してくださいよ、浮気性の人に」
高鍋さんは、もう完全に毒舌帝王だ。
「・・・マークね」
気持ちを落ち着けて電話をかける。
コールはするけどなかなか出ない。そのうち留守電になる。
バッグかなんかに入れっぱなしなのかなぁ・・・
再度かける。
今度は電源が切られていた。
・・・・・・・・・
不安・・・
横目で不審そうに見ている高鍋さんを、なるべく見ないようにした。