外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

何故かは解せぬが、
かすみさんはあの鍋の日以来、頻繁にうちに来るようになった。

「で、祐哉とはどう?うまくいってるの?」

「え、あ、いや別にそういうのは」

「あんたねぇ、いい加減に早く一緒になんないと・・・」

「・・・なんないとなんですか・・・」

「あいつ持ってかれちゃうよ」

「・・・」

知らないと思うけど、けっこうモテてたりするよ!
会社にもファンいるしさ。
だから、いいと思ったらさっさと手ーつけちゃいなさいよ。

「手ーつけちゃいなさいよって・・・」

確かに、むかーし言われた『俺のものになれ』という言葉。

2回聞いた。確かにそれ以来聞いたことが無いし、
そんなそぶり見せてもこない。

「だいたい、祐哉はあんたのことが好きだっつってんでしょ?
何を渋るもんがあんの?なんだか知らないけど変な外人とは
おさらばしたんでしょ?」

変な・・・

「いいじゃないそれで。深く考えたっていい結果返ってこない!
簡単に生きましょ」

「・・・そうですよね・・・でもなんて言ったらいいのか・・・」

「普通に、正直に、『好き』でいいんじゃない?」

人はみかけによらないとはこういうことだろう。

かすみさんはいつもの通り、空気感満載のふわっとしたワンピースにでっかいリボンを頭につけてる。

そして、大股開きでソファーに座ってる。

・・・やっぱ姉弟だな・・・

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