外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
「・・・寝言で言ってた方ですか?」田中さんが祐哉を見つめる。
「寝言?」険しい顔になる。
「・・・はい、なんかずっと・・・呼んで・・ました」
「なんて?」興味津々になるかすみさん。
「いや、言わなくていい」素早く止める。
「桃華さんは聞きたいわよね?」
お姉様・・・私に・・・振らないでよーーーー!
「え?」ぴくりと田中さんの眉毛が動き、
目が鋭くなるのを見過ごさなかった。
私と田中さんは探り合うように視線を交わす。
「桃華・・・さんです・・・か?」
可愛らしい声には裏がある。
「・・・は・・・い、桃華は・・・私ですけど」
声が徐々に小さくなっちゃう。
「・・・そう・・・ですか」
下を向く田中さんはタオルケットをぎゅっと掴んでいた。
「もしかして寝言って・・・」かすみさんの目は爛々と輝きを増す。
「・・・そう・・・です。桃華さんって・・・・・ずっと・・・」
「!!!!!」赤くなる祐哉に、赤くなる私。
かすみさんだけは、『よっしゃ!』とガッツポーズしてるし。
「でも!桃華さんは、はっきり言ってないんですよね?」
「?」