外国育ちのお嬢様は硬派がお好き



『あんな男、すぐに忘れさせてやるよ』



冗談でそんなこと言わない。

踵を返した。

急いで出て来た場所へ、もっと急いで戻る。

リビングを通り抜け・・・

ソファーにかすみさんが背筋を伸ばして座ってる。

やばい!

寝室に急いだ。

バン!と思い切り寝室のドアーを開けた。

さっきと同じ位置に祐哉が座っていて、
その腕には田中さんの腕が巻き付いていた。

「!!!」気付いた祐哉が何かを発する前に、

「さわらないで!」

私は田中さんの手を、祐哉の腕から、振り払った。

「なっ」 殺意に似た眼差しにギクリとするけど、負けられない。

祐哉の腕を引っつかみ、立たせる。

「なに・・・を!」手を伸ばしてきた。

「祐哉にさわらないで!」
「何言って・・・」
「田中さんには悪いけど!」

田中さんは咄嗟にベッドから立ち上がり、私の前に立った。

怒ってる女ほど怖いものはないです。

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