外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

「祐哉は、私のものだから!」
「あんたさっき・・・」「誰にも渡さない!」

睨み合う私たち。

「社長!」祐哉にすがる田中さんは、また目に涙を浮かべる。

私は・・・絶対泣かない。女の武器なんて使いたくない。

そんなもの・・・・

「・・・お前俺のこと・・・好きなの?」

私の背後からかかる冷たい声に凍り着く。

「・・・好き・・・だよ」 田中さんの目をじっと見て言った。

「だからごめん田中さん。祐哉は渡すわけにはいかない」



・・・・・・・・・・・・・・・・・




「・・・社長は・・・どうですか」潤む目を、祐哉に向ける。

「俺は・・・」

すっと私の横をすり抜けて、田中さんの側に寄った。

うそでしょ・・・やめてよ・・・ドキっとした。

田中さんの髪に・・・祐哉の指が・・・

< 304 / 363 >

この作品をシェア

pagetop