外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
クッキーとクッキーはクリームでくっつく
嵐は自分の行くべきところへ戻り、私は自分の部屋に戻った。
『あとで来る!』は夢に終わった。
部屋に戻った私は少し頭をまとめようとして、
ココアを作りソファーに座ったところまでは覚えている。
けど、その後気付いたら夕方近くになっていた。
メールが1件入っていた。
祐哉からだ。
『起きたら連絡して。明日でもいい』
言葉に甘えて電話は明日することにした。
結局次の日、会社で祐哉と会うことになった。
社長室の無いこの会社。
祐哉は一番奥の日当たりの良い場所を一面に陣取り、自分の城を作っていた。
窓を背にして置かれた大きくて長いデスクには山積みのように資料が積まれている。
これから片付けなければならない仕事の山だ。
毎年この時期、年末になると忙しくなるこの業界。
来年2月までが忙しい。
国際ビジネストータルサポートを謳うこの会社は、翻訳・通訳を専門とする会社だ。
ビジネス翻訳、医薬・化学翻訳、IT翻訳・金融翻訳、人事翻訳・・・
などはもちろん、ローカライズ翻訳に力を入れているこの会社は、
国籍、性別、学歴、宗教、性格、一切の基準を設けていない。
つまりは会社が示した基本理念さえしっかりと腹の中心に埋めておいてくれさえすれば、
どなたでもウェルカム!
これが、この会社のやり方だ。
なるほど私を雇ってくれたのにも理解が出来るってもんだ。
だから高鍋さんや田中さんのような人、
それからかすみさんのような人も私みたいなのも、いるわけだ。