外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

マークはいまだキッチン付近で立っていた。

「・・・座ったら?」

ソファーへ促す。

無言で頷くとソファーへと歩いてくる。
はい、とペットボトルの水を渡された。
そうだよ、私、水飲みたかったってこと、今思い出した。

ソファーの端と端に座ってしばらく無言を貫く。

「あ・・・さっきの人、シェーンの彼?」

シェーン・・・そんな風に私を呼ぶ人はもういないと思ってた。

「そうだよ、彼氏」
「・・・そっか」

また無言になる。

「で、何しにきたの?」

突っぱねた言い方をした。
そんなの当たり前だ。

京都のことや成田空港でのことを思い出したら
ここに今こうやってマークがいることが不自然だ。
あんなにひどいことをしておいて、よくここに帰ってこれたものだ。

「シェーン、ごめん」

そんな言葉はもういい。

「紀香とはもう・・・」

あぁ・・・そういえばNORIKAさんって言ったっけあのふんわりさん。

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