外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

「とにかく、もう私はあなたに気持ちは無い」

「分かってる。でも、考え直してほしい」

「マーク・・・」

「君しかいない」

帰ってと言ったけど、食事にだけでも行こうと懇願され、
断り切れずに外に出た。

廊下は相変わらず静かだ。

エレベーターホールで待っているときも、ほどよい距離を保ち、
話すことすら考えたくもなかった。

エレベーターが開く。

「・・・どうぞ」

マークが先を促した。

あ・・・

この場合いつも祐哉が先に乗り込んでから私が乗るので、
自然とマークが先に行くのを待っていた。

マークと一緒の時は、そういえば私はいつも先を歩いていた。
だから、先に乗る。もちろんボタンも押す。

ロビー階に着いたときもマークは『どうぞ』と私を先に出す。

なんか・・・しっくりこない。
< 332 / 363 >

この作品をシェア

pagetop