外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
食事に行った先は例の行きつけのバー。
また同じようなピザを頼む。話すこともなくただ食べる。
学習したのか、マークはスマホをテーブルの上に置かなくなった。
と言うより、持っているのかも定かじゃないけど。
「今日、泊まれないかな?」
・・・図々しいにも程があるでしょ、怒るよ。
「どうぞ」
「いいの?」ぱっと明るい顔になった。
「いいよ。私祐哉のところに行くから。
泊まるところが無いなら私の部屋を使えばいい」
ホテルに泊まりなさいよ!とは言えなかった。
萎れた花のように静かになるマーク。
「やっぱり元に戻らない?」
首を振る私。
そっか・・・と小さく言って、食べてたピザをお皿に置いた。
「私たちは合わないよ。これで終わりにしたほうがいいと思う」
いつか言われたような言葉。
私が今度は言うことになるとは思わなかった。
「元気でね」
悲しそうに笑うマークにチクリと心臓が痛んだけど、
一人静かに店を後にした。
これでもう会うことは無いと思うと少し悲しくなったけど、
もう、気持ちが無いことには何も始まらない。
会っても何も思わなかった。
どうこうなろうとか、思わなかった。
本当に私たちはこれで終わりなんだ。