外国育ちのお嬢様は硬派がお好き
THE LAST
「ザ・フィニートだ?」
かすみさんはあいかわらずなふんわりさんスタイルで
うちのソファーに大股開きで座っている。
「そうですよ。もう完全に終わりましたから」
あそこで分かれてから一切の連絡を絶ったし、アドレス諸々全て抹消。
「もう、ここには来ないのね?」
「来ないですし、来ても入れることはないですよ」
気持ちの整理もついたってもんだ。
「なんで来たんでしょうかね、あの下半身に締まりの無い男」
「高鍋さんそれはやめて」
一度は愛した男をそういう風に言われるのはなかなかに心外だ。
こんなどうしようもない結末になったにせよ、選んだのは私だ。
彼を否定されたら、まんま私を否定することにもなる。
あっそ。と、締まりの無い返事をしてかすみさんの隣に
小さなウサギのように座る高鍋さんは、
やはりウサギの皮を被った狼にしか見えない。
「で、うちの弟はどこに行ったわけ?」
「・・・さぁ。電話しても出ないし、どこ行ったんでしょう」
それぞれに連絡をしてみたものの、
誰一人祐哉と連絡のつく人はいなかった。
一応、メールを入れておいたからそのうち返信が来るとは思うけど・・・
仕事?かなぁ・・・
「ま、ここにいるってのメールしてんならいいんじゃない?
ほら、お客には酒のひとつも出しなさいよ」
かすみさん、人を召し使いのように・・・
笑って流してみたけど・・・どうやら本気のよう。目が怖いです。
結局、祐哉が帰ってくるまで三人で待つってことで話はまとまった。