外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

☆★☆★☆★


かすみさんに電話をかけると、丁度良かった!用意はできてるから、

今から行くわねと返事が来た。

何も用意をしていないことを言った私にかすみさんは、

メイウェンティ・・・と言ってきた。

これは中国語で問題無いという意味だが、

なぜここで中国語?

なんにでもはまるかすみさんは、現在は中国語習得に力を注いでいる、

ということで納得。




15時、私の家のキッチンには腕まくりをしたかすみさんと、

助手のような私がチョコを溶かすという作業を始めた。

BGMにはアリシア・キーズのフォーリン。

古いけどいい曲だ。

「いい、桃華さん、チョコなんてこんなもん、わざわざ固まっているものを

溶かしてハートの型に流して固めるという、非常に面倒くさい工程を経て

出来上がるのよ。つまり、その過程が大事なわけよ」

「ふんふん、分かりました。確かに買った方が楽ちんでおいしいと思いますけど、

その愛情を込めて作りました感がいいってことですね」

「そういうこと、はい、この型に流し入れて」

若葉マークの私には一番手っ取り早い方法がこれだ。


ただ、型に流して固める、はい、おしまい。




< 354 / 363 >

この作品をシェア

pagetop