外国育ちのお嬢様は硬派がお好き

20時丁度に祐哉が来た。

そりゃそうだよ、目と鼻の先に住んでるんだから。

「お帰り」

「ただいま」

なんか、こんな普通の会話が楽しい。

玄関先でちゅっとするのも毎回の恒例行事と化していた。



「ハッピーバレンタイン!」

チンとグラスをぶつける。

「はい」

冷やして固めたチョコレートを冷蔵庫から出して、そのまま渡した。

なんて言うんだろう!

嬉しい!とか?

ありがとう、大好きとか言ってくれるのかな。


「・・・なんでこんなに冷えてるの?」

は?そこ?

「・・・だって冷やしてたんだもん」

固めるのに、当たり前でしょ?

「箱無し?」

「・・・必要ないでしょ?」

そんなもんにこだわるの?

どうせ開けて食べちゃうんだから、このままでいいじゃん。

というのが、私の考え。

ニカッと笑った祐哉は、

「そういうの、すげー好き。ありがと」

やっとお礼を言った。

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