東京

待ち合わせ場所には、あゆみと文樹と久美子

そして
あゆみが思いを寄せる真悟が立っていた。

『早くー!』


「何でいきなりプラネタリウム?」

『星でもみなよ!どうせいいことなかったでしょ?』
むっ。と思った。
嫌なことをズバリ当てられると、ついつい顔に出てしまう。

あゆみのいたずらっぽい顔を睨んでいると落ち込むのもバカらしく思えた。

区民公園は木で囲まれ、東京にいることを忘れることができる。
わさわさと揺れる桜のつぼみを見て、気持ちが穏やかになった。

『プラネタリウムが好きなの。他に理由いる?』

「別にいいけんさぁ。」

『ジョージもすぐ来るから。』



ジョージは久美子の彼氏だ。所田 勇治という名前からそうあだ名がつけられた。

小学生の時にガキ大将にそう呼ばれたのが、キッカケらしく、ジョージ自身はなかなか気に入ってるらしい。

背が低く色白で可愛いのに関西弁で強気な久美子の隣で、ジョージはいつもあっけらかんと笑ってる。


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