東京
深夜の海は、涼しそうな色をしていたけど
暑苦しい。

波に足を突っ込み蹴りあげると海水が舞う。

「静岡の海はきれいだらぁ。去年の湘南はひどかったっけ。」

俺は自慢げ笑った。

『うん。』

あゆみも小さく頷いた。

「俺千葉っても海遠いもんなぁ。」

「いいら。千葉県民はみんな庭で落花生育ててんでしょ?」

「育てねぇよ!」

『ばっちさ、修学旅行沖縄だった?』


あゆみが唐突に振り返り聞いてきた。

「いや。俺っち東京さ。」

『沖縄はもっとすごいよ』
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