東京
あゆみからの

"まだ家?

というメールに返事をして、部屋を出た。

鍵を閉め階段を降りると、自転車にまたがる女がいる。

『おはよ』


「ここ寄ったら遠回りじゃん。」


『いいの。直接教室行ったって授業中だもん。』


「ビビり。」


『お互い様でしょ?早く自転車乗っけてって。』


あゆみはたまにこうして家に来る。
先日は鍵を開けたままにしていたから、起きたらあゆみがテレビを見てたこともあった。


そんなあゆみを自転車の荷台に乗せ、学校に向かう。

フェンスの向こうを走る東海道線に煽られながら。

ひたすらペダルをこぐ。



結局午後の授業は終わっていた。

休み時間にそっと教室に入り、それぞれ空いてる席につく。


放課後は、まだ終わってない実習の課題をやらなければ。

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