東京
四。

生ぬるい風がほほを撫でる。

久しぶりの実家の匂いで
俺は一番に目を覚ました。

みんなはすやすやと眠っていた。

真悟とあゆみが手を繋いで寝ているのを見て

顔が熱くなる。

どうして人は。好きになってくれる人をそのまま好きで返せないのだろう。

どうして好きだということに気付けないのだろう。


窓を開けると富士山がまさに威風堂々と構えている。
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