東京
「とりあえずいい夢見れたら?夏のステキな思い出じゃねぇか。」
いつもなら浮かれて口をだらしなく緩めるくせに。
今日のあゆみはとても悲しい顔をした。
『ステキなだけじゃないんだよ。』
「何した?昨日だら?」
あゆみはコクンとうなずいて一度ピョコッと跳び跳ねると
『東京戻ったら。また心の相談室してくれる?』
と、笑顔で問いかけてきた。
「1回お前らと一緒に戻るさぁ。したら静岡戻る前に時間あるから。」
あゆみはニコッと笑ってまた外を向き
小さな声で言った。
『時間がないの。』
すごく思い詰めた様子だった。
あゆみのすごく不安そうな横顔を一番近くで見たくせに。
俺はこの後
大きな過ちを犯す。