東京
『編集機借りてくるから、カメラ借りてきてね?』
通っているのは都内にマスコミの専門学校。
テレビやライブの技術、制作を学ぶところだ。
終了制作では1シーン1カットの作品をグループ毎に制作。提出しなくては進級できない。
俺たちの班は少し遅れているから、今日中にエンドロールを編集しテープに取り込まなくてはならない。
『やりますか!』
と声をあげやる気に満ちたあゆみ。俺たちは映像技術コースで主にカメラの勉強をしているから、編集がほとんど出来ない。
だけどあゆみはない知識で随分楽しそうに作業をしている。
大きなガラス張りの窓から、キラキラと西日が射し込む。
俺が窓の下を歩くミュージック科の生徒をぼうっと見ていた時、携帯が大きな音でなり響いた。
あゆみと、同じグループの文樹が大きな目で俺を見る。
「わりぃ。電話出てくる。」
小走りで教室のドアを空け、階段に向かう。
着信が止まっていないことを確認し、階段に到着する手前で通話ボタンを押した。