東京
五。
長い長い夜を越え、紗耶香さんとの待ち合わせの時間がやって来た。
俺はいつものように
少し遅刻で到着する。
「久しぶり。」
丘の上には
白地に紫の花柄の浴衣を着た紗耶香さんが立っている。
「静岡戻ってこないかと思ってたけど?」
『東京帰るかと思ったけど?』
浴衣で髪をアップにした紗耶香さんは、いつもより数倍可愛く見えた。
「帰るわけないじゃん。」
俺は紗耶香さんの横に肩を並べ
空いてる方へと歩き出した。