東京
六。
久しぶりの学校は、少しむず痒い。
1ヶ月半ぶりに会う人や
普段大学の講師をしていてなかなか会うことのない担任がいたり、何だか新しい気持ちで
何でもできる気持ちになる。
昨日から家に泊まっていた真悟と教室に入ると、いい色に焼けた学生が顔を揃えていた。
そして少し痩せたような
あゆみの姿があった。
「あゆみ。」
『ばっち久しぶりじゃん!ごめんねぇメール!夏バテでめんどくさくなっちゃってさぁ』
バカ笑いしているけど
気を使っているのがひしひしと伝わってくる。
あゆみ。
お前はどんな夏を越してきたんだよ。
「結局話聞けなくてごめんな。今日放課後時間あるら?」
あゆみは一瞬ビクッとしたけど
またいつものように微笑んだ。
『いいの!もう済んだから。』
‥何が?
「みんなおはよう!」
半年ぶりくらいの担任の声が教室に響き、やむを得ず席につく。
顔色が悪い。
一番後ろから全員の背中を見る。手先が冷えるほど心臓が速くなり、何も耳に入らなかった。