東京

ホームルームが終わると同時に俺はあゆみの腕を掴んだ。

『‥痛いです。』

「今から家来いよ。」

『わかった。行くから。暑いんだから離してよー』

またいつものようにふざけたけど
掴んだ腕から
どんどん早くなる鼓動を感じた。

真悟と何かあったな。
絶対あったな。

告ったか。

振られたか。

殴られた?

何だろう。


仲間たちに別れも告げずに
あゆみを自転車の荷台に乗せて走った。

コンビニであゆみの好きなサラダとお茶を買い
俺は煙草だけ買って部屋に向かった。

まだ暑い9月1日
俺の肩をつかむあゆみの手からは汗がにじんでくる。

額から流れる汗が
今日もまた東海道線がきる風に吹かれてひんやり気持ちがいい。
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