東京
「誰かにこのこと…」
首を横に降る。
「相手は…相手は真悟?」
あゆみの肩が大きく揺れた。
『真悟しか…いないじゃない…。』
大きな声を出した。あゆみをさっきより力強く抱き締める。
それでもあゆみの震えは止まらない。
「怖かった…よね?」
『…うっ…ばっち。』
「あゆみ?」
『怖かった。』
俺がもし、静岡で遊んでないであゆみのとこへ向かったら
俺がもし
紗耶香さんを無視してあゆみについて戻っていたら
もしそうなる前に止めることが出来ていたら。
せめて一人で辛い思いをさせずに済んでいたのに。
取り返しのつかないことをした。
「ごめんあゆみ。」
あゆみの肩が、俺の涙でじわりと濡れる。