東京
紗耶香さんは、俺が東京に出て初めて行ったライブで知り合った。

友達と手を振りはしゃぐ俺の手が、隣の紗耶香さんの顔を叩いた。

大人だ。と思ったあの時の雰囲気を今でも思い出す。

『それじゃ明日ね!』


「じゃあね。」


あゆみと、同じ班の文樹は改札に入り手を振った。

班のメンバーは他にもいるけど、今日は各々の予定で三人だけだった。


人の恋愛が大好きな二人のことだから。
きっと電車では俺と紗耶香さんについて話すのだろう。


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