東京
「お前さぁ。何やってんの?」


部屋にズカズかと入ってきて
第一声がそれだった。


「…何も。」


「…情けねぇなぁ。」

文樹はチラリと俺を見た。

「もしかして自分のせいでばっちが死んだとか思ってんの?」


体が硬直して
何も言い返せない。

「お前のせいなわけないじゃん。」


「俺のせいだよ。俺が気付けばよかった。」
「思い上がんなよ!」

文樹の目は鋭く
俺をとらえて放さない。


「お前に人の命どうこうする力があるわけないだろ。神様にでもなったつもりか?
ばっちに何教わってきたんだよ。」


ばっちに
教えてもらったこと。


涙がまた
込み上げる。


「ばっちのお母さんがさ、これくれたんだ。」


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