東京
文樹の手には小さな小瓶
中には白い粉になった


「ばっち?」


「そう。分骨ってやつ。俺も、久美子もジョージも。本当はこのばっちを託されたかったけどさ
持っていたかったけどさ
最後のばっちと過ごしたのはお前とあゆみで
何か、色々あるだろうから三人の想いも
お前らに託す!
だから、ちゃんとしろよ!」

ちゃんとする。

すっかり小さくなったばっちが
俺の手のひらに収まった。
「文樹ありがとう。」


「うん。」

「あゆみんとこ行く。」

「おう。今いけ。今。」

お前のすべきことわかるら?
そんなバカじゃないら?


いつまでも静岡弁がぬけないばっちの声が、顔が、通り抜けた。


そんな気がした。
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