東京


震えるあゆみを俺から離し、ばっちが入った小瓶を見せる。


「まだ立ち直れねぇよ?
そりゃ無理だよ寂しいよ!でもさ、やるっきゃねぇんだよ。
行こうぜ!多摩川!」


『多摩川!?』

「東京にはるばるやって来てさ、ばっち多摩川歩くの好きだったじゃん。
みんなでよく遊んだじゃん。
放課後わざわざ一時間弱かけて神奈川の手前まで行ったじゃん。」

時刻は19時。今からすぐに行けば21時半には多摩川の駅につく。


「行くぞ!」

俺は半強制的にあゆみをひっぱり電車に乗せた。

片道約2時間。
ずっと会話はない。

ただ窓の外を見つめ
手だけは
しっかりと握りしめた。

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