東京

『離れたくない。』


キュポン。
音を立てて小瓶の蓋が開けられる。


『真悟!ばっちと離れたくない!』

ぼろぼろと流れる涙を、止めることなく俺を見る。

『離れたくないよ!』


無理やりあゆみの手のひらに
ばっちを握らせた。

『ダメ!』

今にも風に飛ばされそうなばっちを
必死に握りしめるあゆみ。

俺は涙を堪えることが出来なかった。

「手を…広げようあゆみ。」

< 91 / 97 >

この作品をシェア

pagetop