素直になりたい
「気のある振りしたんじゃねぇの?」
高校の友達との忘年会で、向かいに座るともゆきが口を開いた。
『ねぇともゆき、私ともゆきに気があるように感じる?よく遊ぶしよく電話もするけど、私がともゆきを好きな様に感じる?』
「仲は良いと思うけど、そういう好きって感じはしねぇなぁ」
『でしょ!私ともゆきと付き合いたいとか微塵も思わない。興味ない、想像もしたくない。
彼と遊んだ時もこんなだよ?特別いつもと変わりないんだよ?何で気があると思われるんだろう』
「なんか分かんないけど俺いま悲しい、すごく悲しい」
「弥生って昔からそうだったよねー、可哀想に」
『でしょー!嫌になる』
「おい、聞けよ。俺今かなり蔑まされたんだぜ」
今までの私の恋愛経験を全て知っている綾乃は私の考えに賛同してくれる。
「一年の時の斉藤もやばかったよね!」
『うわー懐かしい!』
「なにそれ、俺知らねぇし」
高校一年の時、同じクラスの斉藤くんとよくメールをしている時期があった。
毎日学校が終わると彼はメールをしてきて、無視する必要もないからと1日2、3通のメールのやりとりだった。
他愛もない、中身のほとんどないメールだった。
でもある日、メールを返し忘れると次の日に学校で呼び出されたのだ。
昨日は何をしていたのか、誰と会っていたのか、何でメールを返さないのかを問い詰められた。
混乱した私がはっきり
「なんで斉藤くんにそんな報告する必要があるの?」
と聞くと、彼はしれっと
"お前の彼氏は俺だろ"
と答えたのだ。
「え、なにそれ。お前斉藤なんか全然興味なさそうだったじゃん」
『そうだよ。興味なんかないのに、本人は"私が彼に興味津々"なつもりだったんだろうね』
「それはまじで不思議だわ…」
『だから困ってんの!』