不思議なアノコ.・*
「しぃのこの…動物の声が聞こえる力は、幼稚園の頃からもぅあったらしいんです。
幼稚園では、そのせいで嫌な思いをしたとかはなかったんですけど……小学校に上がったときにちょっとありまして。
…小学5年生の時に、カラスが校庭に倒れてたことがあったんです。
カラスのまわりにたくさん生徒がいて、しぃもその中にいたんですが、皆してカラスを見て『キモい』とか『なんでここで死んでんの??』とか、言いたい放題で…。
でも、本当はカラスは死んでいなかったんです。
…カラスから『助けて、足が痛い。』って声がきこえたんです。」
「…足??」
「はい。 見てみると、足から血が出ていて、しぃはとっさに皆がいる中カラスの応急措置をしました。
そしたら、カラスが目を覚まして校庭から飛んでいったんです。
しぃは皆に「カラスは死んでいないよ?? 足が痛かっただけなんだよ??」って言ったんです。
…そしたら…」
…声ははっきりとしていたが、椎名の頬には涙が流れていた。
「…そしたら、1人の男の子が『こっちくるな…ッ』って。
一瞬、耳を疑いましたが、次々に罵声が飛び交いまして…『気持ち悪い』とか。
最終的には、『春日と目が会ったら呪われる』って言われました。
…子供って、素直で残酷ですよね。
まぁ、しぃもまだ子供な訳で…すごい傷付きました。 それからずっと、しぃは人を見ちゃいけないんだって、歩くときはずっと下見て歩いて…中学校入ったときはこの力がばれたら、小学校よりももっと酷い目に遭うんじゃないかって、前髪も伸ばしてさらに人を見ないようにしました…。」
「…じゃぁ、その話し方は??」
「これは…なんだか、身についちゃって…
高校入るまでは人と必要最小限な話だけしていましたから…。
…これが、しぃの顔を隠す理由です。」
そう笑いながらごまかす椎奈。
「……なよ。」
「え??」
「…ッ なんで笑ってんだよッ!!
俺は人のことなのに泣きそうだっつ-の!!
…泣けよ。
今ぐらい、泣けよッ」
「………だって…「だってもクソもあるか!!
人を見ないようにした??
ふざけんなよ、ンなことしたらダメだろ!?
柚紀も昨哉も高良も…俺のこともちゃんと見てないのかよッ」
すると、突然…
ギュ-ッ
「…えッ、しい…な??」
「…のバカ…陸のバカバカバカ-ッ!!
しぃだってちゃんと皆のこと見たいもん…でもトラウマなんだもん、怖いんだもん…ッ」
椎奈の肩が震えている。
…ちょっと言いすぎちまったかな、俺。
「椎奈、お前そのままずっと顔を隠したままでいるのか??」
「それは…」
「俺、お前の目、デカくてクリックリで、とても綺麗な目だと思うよ。
隠すなんてそんな勿体ないことすんなよ。
…俺は本当のお前が見たい。」
「……ッ///
でも…怖い…ッ」
「怖いなんて言うな。
そんなこと思ってたら道なんか開かねぇ。
大丈夫だ。
俺がいつもお前の傍にいてやる。」
「…陸。」