天使のキセキ【短編】
『こんなものっ』


怒りにまかせて
私はベランダから
このガラスの玉を
投げ捨てようと高く持ち上げました


その時ー…


『止めて…』


と、かすかに声が
聞こえた気がしました


私の手は止まりました
けれど
ガラスの玉は
私の手から
するりと
滑り落ち
私はギュッと目を閉じました


と、同時に理不尽に
癇癪を起こした自分を
責めました



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